
JPSのデザインが昔から好きだ。
黒をベースに、細いゴールドのラインと文字。
派手なカラーリングではないのに、ひと目でそれと分かる。
レーシングカーのカラーリングとして、これほど完成されたデザインもなかなかないと思う。
そしてもうひとつ。
「United Kingdom」という響きが、なんだか好きだ。
英国、モータースポーツ、ブラック&ゴールド。
自分の中では、どこかインペリアルな雰囲気を感じる色使いで、その少し重厚で格式のある感じがとてもクールに見える。
今回は、そんなJPS(John Player Special)の世界観を、自分のABARTH 124 Spiderに落とし込んでみた。
ただし、普通のJPS仕様にはしなかった。
ガレージに、なぜかJPSがいる
JPSは英国生まれ。
1970年に英国で登場したJohn Player Specialは、モータースポーツの世界でも強烈な印象を残した。
特に1970年代のTeam Lotusを彩ったブラック×ゴールドは、今でもJPSを象徴するカラーリングだと思う。
そして現在もJPSというブランド自体は残っている。
我が家のガレージには、そのJPSのボックスがなぜか飾ってある。
今回のデザインを考えるために用意したわけではない。
以前から、そこにある。
黒い箱に金色のJPSロゴ。
改めて見ると、やっぱり格好いい。
そんなJPSのカラーリングを124 Spiderに入れたらどうなるんだろう。
今回の妄想は、そんなところから始まった。
でも、黒にはしなかった
JPSなら当然、ブラック×ゴールド。
最初はその王道で仕上げることも考えた。
ただ、そのまま再現するだけでは少し面白くない。
JPSは英国生まれ。
だったら、もうひとつ英国の要素を入れてみたい。
そこでブラックの代わりに選んだのが、Aston MartinのMalachite Green(マラカイトグリーン)だった。
深く、かなり黒に近いグリーン。
暗いところではブラックのようにも見える一方、光が当たると深い緑が浮かび上がる。
そこへJPSのゴールドを合わせてみた。
John Player Special × Aston Martin Malachite Green。
両者に直接の関係があるわけではない。
でも、どちらも英国から生まれたもの。
自分の中では、その「United Kingdom」という共通項だけで十分だった。
JPSを再現するのではなく、自分の124 Spiderならどうするか
今回やりたかったのは、歴代のJPSレーシングカーを忠実に再現することではない。
もし自分の124 SpiderをJPS仕様にするなら、どう仕上げるか。
それを考えてみたかった。
ボンネットには大きなJPSの意匠。
ボディサイドにはJohn Player Specialの文字とゴールドラインを走らせ、レーシングナンバーや小さなグラフィックも配置した。
そして、それらを受け止めるのがMalachite Green。
実際に組み合わせてみると、想像していた以上に相性がよかった。
ブラック×ゴールドほどストレートな迫力はない。
その代わり、見る光によってグリーンが現れたり、ほとんど黒に見えたりする。
少し落ち着いていて、それでいてちゃんとJPSに見える。
この感じがかなり気に入っている。

イタリアの124 Spiderに英国を混ぜる
考えてみれば、ABARTH 124 SpiderにJPSとAston Martinの色を持ち込むというのも、なかなか妙な組み合わせだ。
イタリアのブランドを背負ったロードスターに、英国モータースポーツを象徴するデザインと英国車の深いグリーン。
国籍だけを並べれば、かなり自由である。
でもクルマのカスタムなんて、それくらい自由でいいとも思う。
124 Spiderのロングノーズと低いボディ。
クラシックなロードスターを思わせるプロポーションには、意外なほどこの組み合わせが似合った。
理屈から作ったというより、
「これ、絶対格好いいだろう」
から始まったデザインだ。
そして完成したイメージを見ても、その考えはあまり変わっていない。
思った以上に評判がよかった
今回作ったのは、あくまで将来的なラッピングを想定したイメージ。
実車を塗装したわけでも、ラッピングを施工したわけでもない。
ところが完成した姿を見せてみると、これが意外と評判がよかった。
そして何より、作った本人がかなり気に入ってしまった。
最初は「JPSカラーを124 Spiderに入れてみよう」くらいの遊びだったはずなのに、何度も眺めているうちに、
これ、本当にラッピングしたら面白いんじゃないか。
と思い始めている。
ここが少々危険である。

妄想で終わるのか、実車になるのか
もちろん、画像で成立することと実車で成立することは別の話だ。
実際にラッピングするなら、ボディパネルの継ぎ目や曲面、ドアハンドル、フェンダー、バンパーなどに合わせてラインを引き直す必要がある。
Malachite Greenをどこまで再現するのか。
ゴールドをメタリックにするのか、それとも少し落ち着かせるのか。
JPSの雰囲気を残しながら、どこまで124 Spiderとしてまとめるのか。
考え始めると、まだまだ詰められそうだ。
ガレージに飾ってある、一箱のJPS。
そこから始まった妄想が、
John Player Special × Malachite Green × ABARTH 124 Spider
という一台になった。
JPSをそのまま再現したかったわけではない。
英国生まれのJPSから発想を広げ、もうひとつ英国の色を重ねて、自分の124 Spiderに似合うJPSを作ってみたかった。
今のところは、まだイメージの中だけの一台。
ただ――
これはちょっと、実車で見てみたい。